失敗しないQRコード印刷!サイズ・余白などの注意事項

Webへの導入手段やアプリの個別管理IDを簡単に行える便利なQRコードですが、印刷物にQRコードを入れるにあたり、設定に迷ったとか配置に苦労した経験はありませんか?
QRコードが大きすぎてスペースが無い!読み取りできない!という失敗しないためには、基本の配置について注意しておく必要があります。
デザインするにあたって最初にQRコードのスペースを決めておかないと、予想していたよりも大きく、デザインが崩れてしまうなど、後ほどトラブルになる可能性があります。
そうならないために、過去にデザイン現場から入稿されたデータで気づいた点から、いくつかのポイントを押さえることで、デザインの邪魔をしない、かつ読み取り性能を犠牲にしないベストなサイズ設定についてお伝えしたいと思います。
QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です
目 次
配置サイズをシミュレーションする
QRコードの入った印刷を1から作成する時は、まずQRコードの設定を済ませ、スペースを確定させてからデザインをするのが一番安全です。
そのためにはデザイン時にQRコード自体の情報も受け取るようにしましょう。
(QRコード内容が確定していなくても、情報量が同じくらいのダミーデータを準備するなど)
情報が無いと、どれくらいのサイズになるのか、シミュレーションが難しくなってしまいます。
では、具体的にどのようにQRコードの設定をして、デザインデータに落とし込むかの手順を示します。
QRコード作成サイトを利用する
QRコードの作成は様々なサイトで無料で提供されていますが、印刷物として使う場合は何mmで作成したいかが直感的に分かるサイトで作成するのが簡単です。
こちらのサイトはサイズと余白(マージン)が設定でき、EPS保存も出来るので印刷用途にマッチしていると思います。-> クルクルmanager
以下にてクルクルmanagerで印刷用QRコードを下記条件で1つ作る場合の手順を紹介します。
- QRコードのサイズは10mm角
- QRコードのマージン(上下左右余白)は各2mm
上記で14mm角のスペースを必要と想定します。
URLを入力

QRコードを作成するURLを入力し、赤い作成ボタンを押します。
例) https://www.takayama-dp.com/variableprint/
画像サイズを入力・画像解像度を確認

一旦ダウンロード画面が表示されますが、サイズオプションを選択してサイズをmmにして、想定する画像サイズを入力します。 例)12
ただし、設定できるのはQRコードの上下左右マージンが入ったサイズになりますので、QRコード自体のサイズは下部グレーの数値になります。この数値を基準としましょう。
画像解像度は、印刷物仕様なのでEPS保存で、デフォルトの300dpiのままにします。
セルサイズを整数で入力

画像サイズを12mmにした場合、セルサイズが3.831と表示されます。
セルサイズの数値はドットを表すため、整数でなくてはならないので、繰り上げの4にします。
セルサイズを整数で入れなおすことで、既定マージンを含めた画像サイズが再計算されます。12.5307
そうすると、コード領域(QRコード自体のサイズ)9.8mmとなります。
2での説明の通り、設定できるのはQRコードの上下左右マージンが入ったサイズになりますので、QRコード自体のサイズは下部グレーの数値になります。
※ 1セルサイズが0.34mmと表示があります。オフセット印刷や業務用オンデマンドレーザープリンターの場合、0.3mm以上あれば問題なく印刷できます。
必ず、0.3mm以上になるように画像サイズを設定します。
QRコードのマージン(余白)を設定する
こちらのサイトでもマージンは自動生成されますが、1セルサイズ0.34mmで4セルなので0.34×4=1.36mmしかありません。
最低、2mmは欲しいのでこのまま印刷用データとして使う場合は既存のマージンを消して新たに作ります。詳しい方法は下記に記載しています。
QRコードの内容が既に決定していて、そのままQRコードとして使う場合


サイズ等設定内容を確認したらOKを押して元の画面でEPSを選択してダウンロードします。
ダウンロード後、イラストレーターで開き、元々あるマージンを削除してQRコードを9.8mm角に縮小します。
例えばEPSを配置した時、サイズが420mmだった場合、9.8÷420=0.023×100%=23%
23%縮小すれば9.8mm角のQRコードが出来上がります。
新たに14ミリ角の余白を作り、その中心にQRコードを配置します。
これでQRコードの配置が完了します。
QRコードのバージョンについて
このサイトではバージョンは文字数に合わせて自動で設定されます。
セルサイズについて
- QRコードをオフセット印刷やレーザープリンターで印刷する場合、4セル(4ドット/1セル)の設定で問題ないでしょう。
- 解像度が低いプリンターの場合、6セル位にした方がドットが大きくなるのでより安心です。
結局、QRコードの最小サイズはいくつなの?
個別QRコード(バリアブル印刷)の場合は注意が必要
ID等に使う20文字以下英数字でマージン含め12mm
URL等50文字英数字でマージン含め13mm
上記を基準でスペースを取っておけば対応できるかと思います。しかし、情報が無い状態で余白を決めてしまうのはおすすめ出来ません。
QRコードの文字数はデザイン前に決めるべき
一般的なQRコードは20英数字程度の小さい情報であることが多く(企業URLのトップページアドレスなど)、QRコードのサイズを意識することはあまりありません。
しかし、バリアブル印刷を行う場合も同じイメージでスペースを作成すると、情報量が大きくなりURL1件の文字数が増え、QRコードが想定外に大きくなる場合があります。
例えば、下図のように2点のQRコードをバリアブル印刷用に画像データ化します。
- https://www.takayama-dp.com/?id=ABCD1234
- https://www.takayama-dp.com/?id=hhfd6wxxkt4gyk62f3smfv9emt2sfh4zq2ngdsearw7wf4yjwqyts5b4y67wn5y9
そうすると、下図のように出来上がりの画像サイズが違う事が分かります。

①のように通常のURLと数ケタのユニークIDでしたら想定サイズに収まる場合がほとんどですが、
②のような情報保護のためにハッシュ化されたIDだったりすると、想定上に大きいデータとなってしまう場合があります。当社が扱った経験では②の倍以上の長さになるURLもあります。
例えば、デザイン時の想定スペースが空白を入れて15ミリ角だったとします。15ミリで枠を作成して、①②それぞれのQRコードを入れようとすると、下図のようになります。
①は等倍なので問題ありません。②は65%ほど縮小しないと入りません。3辺にある二重の四角の大きさを確認していただくと分かります。もちろん読み込めない事はありませんが、読み取り環境がシビアになってしまいます。読み取り場所の環境や、iphoneでは読めるのにアンドロイドの特定端末では読めないという事が起きる可能性があります。

②の場合は、本来QRコードが13ミリ角なので、最低でも19ミリ角のスペースが欲しいところです。
そうならないために、下記のように関係する担当者、担当会社と事前にする合わせを行い、デザインの準備をしておきましょう。
バリアブル印刷で個別のQRコードを挿入する際の具体的な確認手段
システム担当者(担当会社)に確認する
バリアブル印刷の場合、QRコードの情報はシステムと一体になっている場合が多いです。そのため、システム担当者(担当会社)にヒアリングすることで、バリアブルQRコードのデータ量(URLと英数何桁等)がどれくらいになるか、ある程度判断できるレベルで知ることが出来ると思います。
この時、補足用の可視数値を印刷するかどうかも決めておきましょう。
※補足用の可視数値とは
PCでアクセスしたユーザー向けの手入力用個別IDや、個別のコードによって納品先が異なる場合、仕分け段階で人の目で分かるように確認するためのID等です。QRコードだけだと見た目で判断できないのでこのような可視数値を付与す場合が多いです。
印刷会社に確認する
バリアブルQRコードのデータ量(URLと英数何桁等)を印刷会社に伝えることで、QRコードの想定スペースが分かります。
印刷会社は伝えられた情報から、バリアブル印刷用のプログラム等にデータを流し込んで、適切なデータサイズで何十ミリ角のスペースが必要になるかを返答することが出来ます。また、補足用の数値が入る場合も桁数などをあらかじめ伝えておき、必要なスペースを聞いておきましょう。
※注意
ダミーのQRコード1つだったら、Web上で簡単に作って自分で判断できる!と思われるかもしれませんが、印刷会社によって個別のQRコードから画像データ化時の仕様が違います。ですので実際に依頼する印刷会社へ問合せるのが一番安全です。
参考:高山印刷のQRコードサイズ表
当社は1セルサイズ0.3mmとして、オンデマンド印刷機使用で、表の通りにQRコードスペースを想定しております。
文字数 | バージョン | セル数 | QRコードサイズ(セル0.3mm) | プラス余白各2mm | プラス余白各3mm |
---|---|---|---|---|---|
50文字数字のみ | 2 | 25x25 | 8mm角 | 12mm角 | 14mm角 |
50文字英字のみ | 3 | 29x29 | 9mm角 | 13mm角 | 15mm角 |
50文字英字数字半分 | 3 | 29x29 | 9mm角 | 13mm角 | 15mm角 |
100文字数字のみ | 3 | 29x29 | 9mm角 | 13mm角 | 15mm角 |
100文字英字のみ | 4 | 33x33 | 10mm角 | 14mm角 | 16mm角 |
100文字英字数字半分 | 4 | 33x33 | 10mm角 | 14mm角 | 16mm角 |
150文字数字のみ | 4 | 33x33 | 10mm角 | 14mm角 | 16mm角 |
150文字英字のみ | 5 | 37x37 | 11mm角 | 15mm角 | 17mm角 |
150文字英字数字半分 | 5 | 37x37 | 11mm角 | 15mm角 | 17mm角 |
200文字数字のみ | 5 | 37x37 | 11mm角 | 15mm角 | 17mm角 |
200文字英字のみ | 6 | 41x41 | 12mm角 | 16mm角 | 18mm角 |
200文字英字数字半分 | 6 | 41x41 | 12mm角 | 16mm角 | 18mm角 |
参考:QRコードの誤り訂正レベル
QRコードには誤り訂正機能があり、作成サイトによっては設定できる場合があります。
レベルL | レベルM | レベルQ | レベルH |
---|---|---|---|
約7% | 約15% | 約25% | 約30% |
QRコードには誤り訂正機能があります。レベルL・M・Q・Hの4パターンが設定されており、訂正レベルの数値(%)が高いほど、過酷な使用条件でも読み取り可能になりますが、QRコードのサイズが大きくなります。
印刷物の場合、そこまで過酷な条件で読み取りされる用途は考えにくいので、レベルLでほぼ問題がありません。
弊社では通常、QRコードはレベルLで生成しておりますが、印刷物の条件等で最適に調整できるよう、別の訂正レベルで生成する場合もあります。
バリアブル印刷時、QRコード配置時の注意
QRコードのマージン(余白)
QRコードはプロ用オンデマンド印刷機で印刷するとして、2~3ミリのマージン(余白)が必要になります。周りにマージンが無いと、デザインとQRコードの区別がつかなくなり、読み取りエラーとなってしまいます。

- バリアブル印刷の場合(オフセット印刷機+オンデマンド印刷機パターン)
バリアブル可変QRコードが入った大量印刷物になると、コストダウンとスピードアップのために印刷方法が変わり、大型オフセット印刷機でデザイン部分を先に印刷してから、可変QRコードをオンデマンド印刷機で印刷します。
そのような条件になると、デザイン部分と可変QRコードの位置が微妙にずれてしまいます。これは2回違うタイプの印刷機に通す仕様上、避けて通れません。
ずれを目立たなくするためにも、ずれてしまったとき上記のマージンを確保するためにも、QRコードの周りには5ミリマージンがあるのが理想です。

しかし、上下左右に4ミリも取ると、例えば名刺サイズの小さな印刷物ですと、貴重なデザインスペースが小さくなってしまいます。そのような時は下記のように2辺の端から4ミリずつマージンを取ることで、少しでも節約が可能になります。

上下左右4ミリのマージンはあくまでも理想ですので、条件によってマージンを小さくすることは可能です。
最初にお伝えした通り、デザイン作成時にQRコードの設定を同時進行することが大切と言えます。
QRコードの色
QRコードはモノクロ1色で作りましょう。CMYKから分解されたデータなど、色が混ざっていると、読み取り精度が落ちる可能性があります。
但し、1色でも特色1色印刷の場合はコントラストが出る色でしたら問題なく読み取りが可能です。この場合もQRコードは1色で作りましょう。
画像やロゴの挿入

画像やロゴが貼ってあるQRコードがあります。
こちらはQRコード開発元のデンソーウェーブ社が公式に認めている作成ソフト・サイトを除き、上記で説明したQRコード自体の誤り訂正機能(QRコードが一部欠けても読み込みができる)を利用して作られています。
ですので印刷不良で欠損している状態と同じという事になります。
QRコード自体はISO/JISで規格化されており、その規格を逸脱したものとなってしまうので、QRコードと呼べない二次元コードになります。
そのため規格に沿った機器での読み取りが出来ない可能性があり、商用利用でこのようなQRコード作成を考えている場合は、特に注意が必要です。
印刷前のテスト
スマホ等でテストする
デザインとQRコードを含めた完成形のPDFを作成して、必ずテストするようにしましょう。余計な改行が入っていてうまく遷移しないなど、想定外の結果にならないか確認します。
また、可能でしたら大きさを把握するためにもプリントアウトすることをおすすめします。(QRコードのみならず、デザイン上の文字サイズが画面上のイメージよりかなり小さかったという事が多々あります。)
バリアブル印刷で個別QRコードがあると、当社の場合、完成形のPDFを数点お客様へメール送付して、実際のシステムで運用確認をしていただきます。その後社内にてランダム抜出しで変換元データとQRリーダーで照合させるテストを行ってから印刷しています。
まとめ
印刷物にQRコードを使う場合、まず、印字スペースを決めてから、規格にのっとったQRコードを作成、そのデータを配置して検証テストを行ってから印刷するように心がけましょう。せっかくのQRコードが読み取り辛かったら本末転倒になってしまいます。
また大量ロットの可変QRコード印刷の場合、システム部門・デザイン部門・印刷部門をそれぞれ別業者に発注する場合もあると思いますが、その場合、事前すり合わせが大切になります。
たかがQRコードの配置、、、しかしデザインやシステムが全て決まってから後戻りをするのはとても困難です。
そのようなバリアブル可変QRコード印刷で不安、お悩みの方、ご相談をお待ちしております。
投稿者

- 1999年入社時は当時貴重なMacに触れたくてDTPを担当、その後本社地区の営業担当を経て、2005年からは東京営業所長。
バリアブル印刷には初代オンデマンド印刷機導入時より、20年近く携わっており、専門分野としてあれこれ知識を貯めました。
お客様からの課題解決のため、社内で知恵を絞って対応しています。
プライベートでは1人息子と父子キャンプを楽しんでいます。
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